2024年以降の住宅ローン減税は、省エネ基準が必須です

住宅ローン減税

2024年からの住宅ローン減税は、建物が省エネ基準をクリアしていることが条件になりました。

省エネ基準をクリアしていない建物の場合、住宅ローン減税は一切受けられないということです。

長年続いてきた住宅ローン減税の制度ですが、かなり大きな変更です。

住宅ローン減税の変更の内容をざっくりと見ていきましょう。

住宅ローン減税はどう変わった?

国税庁のホームページを見てみると、以下の表にまとまっています。

区分の列を見てください。「認定長期優良住宅」から「一般の新築住宅」まで分かれています。上から順番に基準が厳しくなるほど、減税対象の借入額の上限が大きくなる(減税される額が大きくなる)のが分かると思います。

注目すべきは青い矢印で示した部分です。

住宅ローン減税

省エネ基準適合住宅にも該当しなければ、住宅ローンの減税額は0円だということです。

なぜ省エネ基準?

省エネ基準とは、いったいなんでしょうか。

日本では2050年に温室効果ガスの排出と吸収を均衡させる(実質ゼロにする)という「カーボンニュートラル」の目標を掲げています。

地球温暖化に繋がっている二酸化炭素、メタン、代替フロン類などを削減しましょうということです。

この中で特に二酸化炭素の割合が大きく76%を占めます。二酸化炭素を生み出すのは化石燃料(石油・石炭など)の燃焼です。化石燃料を燃やすことで電気を作る火力発電所があり、そこから供給される電気を沢山使うのは大工場だけではなく、何万世帯とある一般家庭です。

そのため、家庭での省エネルギー化(断熱性能向上など)を進めることで、結果的に化石燃料の消費が減るということになります。

そのため、はっきりと言うと・・・

偉い人
偉い人

家を買うときに、省エネルギーに協力しない者には、今後は減税をせんぞ!

ということです。

省エネ基準の中身を分かりやすく

省エネ基準を達成するには、たったふたつの指標をクリアするだけです。

  • 断熱性能等級4以上
  • 一次エネルギー消費量等級4以上

これだけです。

2025年からは断熱性能等級4が、建築できる最低の性能となるので、今の建築技術では決して難しくない基準です。

断熱性能等級4をクリアするための建物の性能は、日本全国同じではなく、寒冷地から温暖地までそれぞれで分かれています。

地域区分1は北海道、8は沖縄です。地域区分表はこちらを参照してください。

断熱性能はUA値(外皮平均熱貫流率)であらわされます。

断熱性能等級4をクリアするということは、北海道の大半ではUA値0.46以下でなければなりません。もし温暖地である静岡市であれば、0.87以下と少し緩和されます。

断熱性能等級

一方、一次エネルギー消費量等級4とはなんでしょうか。

これは建物がどのくらい一次エネルギー(石油、石炭など加工されていない状態のもの)を使用しているかの目安をあらわすものです。これはBEI値(ビルディング・エナジー・インデックス)という数値が用いられます。

BEI値が1以上であれば、省エネ基準に該当しません。

BEIとは

UA値とBEI値が一定基準以上なければ、省エネ基準に該当しないということだけ覚えておくと大丈夫です。

注意すべきポイント

2024年1月現在、建築する建物が省エネ基準に達していない工務店・ハウスメーカーはほとんど存在しないと考えていいかというと・・・実はごく少数ですがあります。

建売住宅やローコスト住宅のごく一部は基準に達していないものもあるようです。低性能の家を低価格で売り出したものの、2023年中には売れず、「住宅ローン減税が使えない家」として2024年に値下げして販売しています。

そもそも年収が低いなどで減税を満額受けられない人にとっては、省エネ基準を達成していない建物でも金銭的には同じかもしれません。しかし減税を享受できる人には、絶対買ってはいけない家だということになります。

そもそも冬は寒く、夏は暑く、光熱費が高すぎる家ですから、年収が低ければ買ってはいけないでしょう。断熱性能が低いということは寿命も短い可能性が高いということでもあります。30年後に解体するような家を買ってはいけないのです。

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長岡FP事務所 代表
住宅専門ファイナンシャルプランナー事務所です。住宅購入時のライフプランニングをはじめ、教育資金や老後資金のための資産運用を専門分野としています。